社長日記

2015年 年頭所感

2015年1月京都裏面

2015年1月案内状表面

藤井絞は本日5日より始動致しました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

藤井絞は、1915年2月の創業の会社で、いよいよ来月2月で創業100年を迎えます。
その節目の年頭に際し、今年の取り組み、目標を記します。

昨年10月、11月の弊社の展示会で、それぞれ「藤井絞の百年祭『序』」、「藤井絞の百年祭『破』」と
続いて開催させて頂きました。

そして今月は「藤井絞の百年祭『急・究・求』」という展示会を開催致します。

ちなみに本来は『序破急(じょはきゅう)』です。
意味は、こちらでお願い致します。 http://ja.wikipedia.org/wiki/序破急

昨年10月から意図して作っていた訳ではないのですが、今月のこの『急・究・求(きゅう)』の漢字が、
これからの我が社に相応しいのではないかと思い、今年1年は『急・究・求』をテーマに取り組みます。

まず『急』ですが、いろいろと急いで取り組まなければいけないことが増えてきました。
絞り染めの技術継承しかり、市場開拓しかり、大きな目線で捉えれば、和装振興を含め、
ものをきちんと作り、伝え、届ける。最も急がないと、どんどん衰退していく一方ではないかと危惧しています。

まず技術継承・後継者育成について、自助努力はもちろんですが、組合や行政などのお力添えを頂き、
『京鹿の子絞』という伝統的工芸品に携わっている方々みんなで未来を考えていく。
職人さんの高齢化により、もうあと数年で出来ないことが増えていくのは目に見えています。
一朝一夕に出来る技術ではないので、取り組むなら今しかないと思っています。

市場開拓、和装振興に関しての『急』は少し過渡期に入ってきている感じがしています。その中において、
おそらく「消費者」からの声、動きをしっかり捉えることが開拓、振興になるのではないでしょうか。

市場に関しましては、ここ最近、SNSによって直接のお問合せやご相談、ご注文を頂くことが
年々多くなってきました。急いでその声に応えられる体制を築くことがメーカーとしての役割だと考えはじめています。

振興に関しましては「着物カーニバル」、「きものサローネ」などの着物ファンイベントも
たいへん良い取組みなのですが、間違いなく次の段階に来ています。
それは、着物に興味がない方、興味があってもどうしたらよいか分からない方に
いかに着物というファッション・市場を認知して、そして着物をお召し頂くかという次のステップです。

いわゆる「着物ファン・着る人を増やす」ことです。急務といっていいでしょう。

そして『究』ですが、いろいろな技術、素材に挑戦し、絞り染めで表現できる世界を究めたいと思っています。

弊社を語る上で代表的な技術になりました「雪花絞」に関しましても、表現そしてアイテムが増えてきました。
創業100年の今年は、もっと攻めた柄や技術を作ると共に、昔の技術の再現や
復刻なんかにも挑戦したいと思っています。「温故知新」という言葉がありますように、今までの歴史を辿り、
昔作っていた柄や色を研究し、新しいものを生み出す。
歴史というのは財産ですから、そこにスポットを当てることも挑戦できればと思います。

今年は「きものアルチザン京都」も「京都染色美術協会」もまた新たな動きが出てきています。
我々世代がイニシアチブを取り、今までになかった見せ方や表現方法の探究もより大切になります。
様々なところからのオファーも増えてきて、今年は益々出て行く場面が多くなると思います。

最後の「求」ですが、お取引先、消費者とのより深いつながりを求めたいと思っております。

浴衣のおかげで、数年前からものすごい勢いで販路が増えました。
本当にありがたいことで、売上を販路の増加で保ってきたと言っても過言ではないほど、
年々お取引先に恵まれました。心より感謝しております。

そして現在は、販路を広げるだけ広げた感があり、次の段階に入ってきています。

それは何か。

「藤井絞」の製品を、より広く、より深く扱って頂けるお取引先との取組みを求めていきたいと思います。

気付いてらっしゃって、もうすでに実戦されている呉服店も多いと思いますが、
これからの展示会のあり方は「総合展」ではなく、「特集」です。もちろん呉服店の規模もありますので
一概には言えませんが、現在弊社がお取引させて頂いている大半の呉服店には「特集」を勧めています。

極論を言えば、たくさん集客してたくさん売れる時代はもうとっくに終わっています。
あれもこれもどれも見せる、何でもある総合展では、消費者に伝わらなくなっています。

そこでアイテムに特化した「特集」です。例えば「絞り展」と題した展示会では絞りしかないので、
絞りが好き、興味がある人しか来ません。絞りが嫌いとか、興味がない人は来ないのです。
それでいいと思っています。きものは、好きな人、欲しい人しか要らないのです。
これからは、いかに好きな方々にアプローチ出来るかしかないと考えています。

その為には、呉服店の店主や店員の方々がそのアイテムの一番のファンであることが大切で、
自分が欲しい、扱いたい、おすすめしたいと思うものしか伝わりません。

そのような理由から、藤井絞のファンの呉服店を求めています。

近年たいへん有り難いことですが、そのようなお店が全国で増えてきています。
消費者もファンが多いお店は、とても充実していて、年々要求度も高くなってきます。
メーカーとしてとても幸せな現象です。

呉服店と藤井絞がしっかり組んで、お客様に解りやすく伝え、届けるという流れをたくさん
作りたい思いです。

「藤井絞展」と題した展示会を開催して頂いていて人が来ない時は、知られてないのだなぁ、興味が
ないのだなぁ、魅力がないのだと最近思うようになりました。それは弊社の努力不足でもあります。

もっと知られる努力、そこでたくさん弊社の商品が見られるということを
それぞれの地域の呉服店一緒に発信し、新しい方々に伝えて、お選び頂きたい、そう考えています。

創業100年の1年。『急ぐ、究める、求む』3つのきゅうで、しっかり取り組んでいきたいと思います。

今年もご愛顧、ご厚情のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

                                   藤井絞   藤井 浩一

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