2024年も残すところわずかとなりました。今年は「変化に適応する」というスローガンを掲げ、さまざまな取り組みを進める中で、期待以上の成果もあれば、厳しい現実に直面する場面も多い一年でした。この場を借りて、今年を振り返りつつ、来年の創業110周年に向けた意気込みをお伝えしたいと思います。
2024年前半は、市場の動向や消費者ニーズの変化に対応すべく積極的な挑戦を続けてきました。特に、デジタルとリアルを融合させた施策が実を結び、順調なスタートを切ったように思えました。しかし、後半に入ると市場の鈍化が顕著になり、需要の停滞を感じることが増えました。これは、きもの業界全体が直面する課題であり、私たち「藤井絞」にとっても大きな試練となりました。
特に、これまでに作られたきものが消費されていく流れの中で、新しい需要を生み出す難しさを実感しました。同時に、業界全体で消費者の選択肢が広がり、より厳しい競争環境に突入していることを改めて認識しました。
そのような状況の中、長らく放置していた自社のHPをリニューアルしました。このリニューアルにより、SNSとの連携が可能となり、情報発信の基盤を整えることができました。これまでは展示会や対面営業が主軸でしたが、これからはよりデジタルを活用して、より多くの方に弊社の商品や取り組みを知っていただけるような運用の充実に取り組みます。具体的には、商品紹介やイベント情報をよりタイムリーに発信し、SNSを通じて顧客とのつながりを強化していきます。この基盤を活用し、リアルとデジタルの相乗効果を最大化させることが目標です。
今年のもう一つの大きな成果は、新しい職人育成の足掛かりができたことです。「京鹿の子絞」を未来へ産業として残したいという思いの元、インターンシップ制度を通じ、新しい技術者の育成に取り組みました。この取り組みを通じて、伝統技術を次世代に継承するとともに、新しい感性や視点を取り入れたきものづくりへの第一歩を踏み出しました。
また、来年には新しい職人による新商品の展開を予定しています。新しい感性と継承していく技術を通じ、「京鹿の子絞」の新たな可能性を広げ、業界の活性化に寄与したいと考えています。
さらに、今年ある程度完成した小売店様向け商品照会システムが来年からの本格運用に向け準備が整いました。このシステムは、商品の選定や注文をスムーズに行えるだけでなく、展示会での活用やリモート対応にも対応したもので、小売店様にとって利便性の高いツールとなることを目指しています。
このシステムは、私たちの商品をより多くの方に手に取っていただくための重要な手段となると信じています。来年は運用を通じてさらに改良を重ね、小売店様との関係をより深めていきたいと考えています。
来年、2025年は「藤井絞」にとって創業110周年という大きな節目の年になります。この記念すべき年を迎えるにあたり、私たちはこれまでの伝統を守るだけでなく、新しい挑戦を積極的に進めていく所存です。①職人育成を本格化させ、次世代への技術継承を確立すること②新商品の展開を通じて、新しい消費者層にリーチすること③商品照会システムを軸に、小売店との協力関係を深化させること④HPやSNSを活用し、デジタルでの情報発信を強化すること、これらの取り組みを通じて、次の100年を見据えた基盤を築いていきます。
最後に、2024年も多くの方々に支えられたことに心から感謝申し上げます。今年は厳しい状況の中での挑戦が続きましたが、皆様のご協力があったからこそ、小さな成果を積み重ねることができました。
来年も「藤井絞」をどうぞよろしくお願い申し上げます。そして、2025年が皆様にとっても素晴らしい一年になることを心より願っております。
どうぞ良いお年をお迎えください。
ありがとうございました。
藤井絞株式会社 藤井浩一