社長日記

2025年年頭所感

新年あけましておめでとうございます。

旧年中は格別の御高配を賜り、誠にありがとうございました。本年も変わらぬご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、2025年がスタートしました。今年は藤井絞にとって創業110周年という特別な年であり、大きな節目を迎えます。この110年間、藤井絞が絞り染め一筋に数多くのお客様や関係者の皆様に支えられて今日があることに、改めて深く感謝申し上げます。この節目の年を契機に、未来に向けた新たな挑戦を始める年にしたいと考えています。

年末年始の休暇中に身の回りの整理整頓を行った際、以前に掲載された本や記事がいくつか見つかりました。それらを読み返していると、この仕事を始めた当初の様々な葛藤や挑戦の中で、「がむしゃら」に走り続けてきた時代を思い起こしました。その頃の情熱と姿勢を改めて胸に刻み、今年のスローガンとして「一生懸命に」を掲げることにしました。

近年の景気や社会の変化の中で、一生懸命取り組んでいるつもりではありましたが、どこかで「仕方ない」や「難しいな」といった言葉に甘えてしまう瞬間があったのではないかと振り返っています。一生懸命の質と量が違ってるなと。今年は「一生懸命に」の言葉通り、目の前の一つひとつの仕事や課題に愚直に向き合い脳も身体も全力で取り組む姿勢を改めて取り戻します。以下に、今年の具体的な取り組みをご紹介いたします。

まず第一に「愚直でアナログな営業」を大切にしていきます。コロナ禍の影響で訪問営業が減少し、少し敬遠しがちになり、代わりにデジタルに力を注いでいました。今年は改めて地道な取り組みを重ねることで、藤井絞の伝統や商品の背景にある物語を、直接お客様にお伝えしていきたいと考えています。対面でお客様とじっくり向き合い、信頼関係を構築する。この地道さが、藤井絞の価値を守り続ける力になると信じています。加えて新規お取引先様の獲得は喫緊の課題です。ここ数年、お得意先様の廃業が増えてきまして、取り扱い店がどんどん減ってきています。そんな中ですが、世代交代が進んだお店や、取り組み方が時流に乗っているお店が出てきていると感じています。新しい目で積極的に新規開拓を目指します。

愚直な営業活動を基盤としつつ、時代の変化を見据え、デジタルを活用した新たな商品提案にも力を入れます。ようやく「商品照会システム」の運用の準備が整いました。このシステムによりお取引先様との連携が一層深まることを期待しています。システムを通じ、商品販売の確度を上げていくことを目指します。また、SNSを活用した情報発信を強化し、より多くの方に藤井絞の魅力をお届けします。特に、製品が生まれるまでの工程や職人の技術を動画で紹介し、藤井絞の価値をダイレクトに伝えたいと考えています。リアルとデジタルを融合させた新しい体験を提供し、お客様とのつながりをより一層深めてまいります。

「京鹿の子絞」を未来へ繋げるには、職人の存在が欠かせません。しかし、職人の高齢化が深刻化している状況において、2025年は新しい職人との連携を深めるとともに、若い世代を積極的に育成する取り組みを強化したいと考えています。「京鹿の子絞振興協同組合」の理事長を拝命していることもあり、なんとか後世にこの伝統的工芸品を未来へ繋げたいと常に考え、活動しています。昨年、小さな一歩ですが、インターンシップを通じ、お一人、職人を志す方が誕生しました。そこで、新しい視点やアイデアを持つ若手職人とともに、伝統技術を活かした新たな商品開発にも挑戦します。職人育成の仕組みと市場へのアプローチをしっかり考え、「京鹿の子絞」の未来創造に取り組みます。

それから今年の春頃を目処に、新たな事業を立ち上げる計画を進めています。詳細は改めてご案内しますが、これまで蓄積してきた技術や経験を基に、現代のニーズに応える新しいサービスを展開します。伝統と革新を融合させることで、藤井絞の可能性をさらに広げ、次の世代へ価値を繋げていきたいと考えています。

結びとして、創業110周年を迎える節目の年に「一生懸命に」というスローガンのもと、社員一丸となり、愚直さと挑戦心を胸に歩んでいきます。伝統を守るだけでなく、時代の変化に応じた柔軟な発想と行動で、未来を切り拓いていく所存です。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。皆さまにとって素晴らしい一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。

藤井絞株式会社

藤井 浩一

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