2025年も残すところわずかとなりました。本年も藤井絞をご支援いただき、誠にありがとうございました。創業110周年という節目の年に、「一生懸命に」というスローガンを掲げてスタートした一年でしたが、振り返ってみると、この言葉の重みと意味を改めて実感する年であったように思います。
とりわけ手応えを感じたのは、愚直でアナログな営業への取り組みでした。既存のお取引先様、新規のお取引先様を問わず、社員一同、昨年より営業訪問の頻度を高めて取り組んでまいりました。その積み重ねの結果、新たなご縁が生まれ、既存のお取引先様との新しい取り組み、そして新規のお取引先様の獲得という形で、確かな成果に結びつきました。一生懸命に向き合うことの「質」と「量」を高めることが、やはり仕事の土台であることを再認識した一年でした。
一方で、デジタル施策として準備を進めてきた「商品照会システム」につきましては、顧客への働きかけやアナウンスが十分とは言えず、結果として継続的な運用が難しくなってしまいました。仕組みを作ることに意識が向きすぎ、本来大切にすべき「どのように使われるか」という視点が不足していた点は、大きな反省点として、来年以降の取り組みに活かしていきたいと考えています。
また、「京鹿の子絞」を未来へ繋ぐ取り組みとして、職人育成の分野では新たな一歩を踏み出すことができました。10月からは大原和服専門学校の授業として「京鹿の子絞」を取り入れていただき、さらに卒業生を対象としたリスキリングという形で、技術承継の取り組みが動き出しました。すぐに結果が出るものではありませんが、まずは知ってもらい、実際に触れてもらう場をつくることができました。「京鹿の子絞を未来へ」繋げていくための確かな前進であり、このスタートを今後の職人育成へとしっかり活かせるよう努めてまいります。
新たなビジネスにつきましては、当初の予定よりスタートが遅れ、現在は来年前半の開始に向けて調整を進めている段階です。今の時代に沿った取り組みであると考えており、焦ることなく、しっかりとした仕組みを構築した上で実行に移してまいります。
来年は創業111周年を迎えます。また、東京支店の移転という環境の変化もあり、この動きをしっかりとメリットとして形にしていくことが大きなテーマとなります。110年を超えて続いてきたからこそ、守るべきものと変えていくべきものを見極めながら、来年もまた「一生懸命に」、愚直に、誠実に歩んでまいります。
今年も大変お世話になり、誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。来年も何卒よろしくお願い申し上げます。皆様、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
藤井絞株式会社
藤井浩一