新年あけましておめでとうございます。旧年中は、藤井絞をお支えいただき、誠にありがとうございました。
2025年は、創業110年という節目を迎え、私自身にとってもあらためて多くのことを考えさせられる一年となりました。日々の仕事の中で、これまで大切に受け継いできたものの価値を感じる一方で、時代に合わせて少しずつ形を変えていく必要性も、自然と実感するようになりました。創業111年となる2026年を迎えるにあたり、今年のスローガンを「継承と刷新」といたしました。守り続けてきたものを大切にしながら、新しい風を取り入れていく。その積み重ねこそが、これからの藤井絞につながっていくのではないかと感じています。
昨年、京都の社屋が登録有形文化財に指定されました。長年、当たり前のように使い続けてきた建物が、このような形で評価されたことを、とてもありがたく感じています。同時に、この場所をこれからどう守り、どう活かしていくのかを、改めて考えるきっかけにもなりました。京都社屋は、ただ保存するための建物ではなく、日々の仕事があり、人が集い、技が磨かれてきた場所です。これからも変わらず使い続けながら、藤井絞の歩みやものづくりの姿勢を伝えていければと思っています。
また、昨年10月には東京支店を移転し、ワンフロアを4社で共同使用するという新しい形での運用を始めました。最初は手探りの部分もありましたが、同じ空間を共有することで生まれる会話や気づきがあり、これまでとは違った広がりを感じています。東京という場所で、藤井絞がどのような役割を果たしていけるのか。多くの方との関わりの中で、少しずつ形にしていきたいと考えています。
「京鹿の子絞」を産業として未来へ繋げていくためには、技を受け継ぐ人の存在が欠かせません。ここ数年、そのことを強く意識するようになり、新しい職人の育成に取り組み始めました。今年は、その取り組みをさらに進め、学びの段階にとどまらず、実際に仕事として関わり、絞りを生業として続けていける形を目指していきます。簡単なことではありませんが、少しずつでも前に進めていきたいと思っています。
商品づくりについては、ここ数年、洗える「カジュアルきもの」に力を入れてきました。日常の中で気軽に着物を楽しんでいただきたいという思いから始めた取り組みでしたが、多くの方に手に取っていただき、手応えを感じることができました。今年はその流れを大切にしながら、改めて正絹のフォーマルきものと向き合います。絞り染めならではの表情や奥行きを活かしながら、これからの時代にふさわしい、新しいフォーマルの提案を考えていきたいと思っています。
創業111年となる今年は、丙午の年でもあります。節目の年にふさわしく、「継承と刷新」というスローガンを胸に、これまで積み重ねてきたものを大切にしながら、新しい挑戦にも取り組んでまいります。受け継いできた技と想いを、次の世代へとつないでいくために、私自身も足元を見つめながら、丁寧に歩んでいきたいと考えています。
本年も、藤井絞の歩みを温かく見守っていただけましたら幸いです。2026年が皆さまにとって実り多き一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
藤井絞株式会社 藤井浩一